寒くなると温かい汁ものが食べたくなる。
いや、飲みたくなるが正しいのか。
汁ものの味の決め手は、やはり出汁によるだろう。
出汁はカツオ、煮干、昆布などあるが、
九州ではやはりアゴ出汁だ。
九州ではと言うか、アゴ出汁はその上品な味とコクが特徴で、
出汁の中でも高級品として今や全国的な人気となっている。
特に麺類の出汁として人気で、長崎では五島市の名産五島うどんには欠かせないが、
昨今ではアゴ出汁ラーメンなども人気だ。
また季節的には、これからの正月料理、お雑煮などには必ずアゴ出汁を使うというご家庭も多い。
言わずとも皆さんご存知と思うが
「アゴ」とは「飛魚」のことである。
大きな胸鰭(ムナビレ)を翼のように広げて飛ぶ。
アゴ出汁の旨さはこの「飛ぶ」ところに因るようだ。
ちょっと話が逸れるが、アゴが飛ぶとはどれくらい飛ぶのか?
跳ね上がり離水した時の初速は時速70kmほどあるそうだ。
また滞空時間は最大45秒もあるということである。
アゴは飛ぶために体重を軽くするよう内臓が小さく、食べたものをため込まない。
そのため雑味がない。
そして運動量が多いため、脂肪分が少なく、青臭さが少ない。
良い出汁、良い旨味が出るのはこの「飛魚の特性」に因る。
また女性の方に嬉しいのは、脂肪分が少ないため、ダイエット食品としても人気が高い。
健康にいい面も沢山ある。
あごにはビタミンB群のほか、若返りのビタミンといわれるビタミンEも含まれてる。脂質の代謝を助けてくれるだけではなく、ビタミンEの作用によってアンチエイジング効果も期待できるということだ。
注目したいのはセレンだ。アゴにはセレンが豊富に含まれており、セレンは抗酸作用に優れ、体の老化を防ぐだけではなく、心臓発作や関節炎といった症状にも効果的といわれている。
また、血液を作ってくれる銅や貧血を防ぐビタミンB12も含まれているので、健康を維持するためにも日頃から摂取しておきたい食品だ。
アゴ出汁も今は色んな形体がある
昔ながらの伝統製法の炭火焼アゴ。手間を惜しまず、自分できちっと出汁を取りたいという方におすすめだ。
焼きアゴ粉末、また粉末のパック。手早く料理したいという方におすすめ。
そして出汁醤油タイプ。手軽で量を調整して作ることが容易なので、使い勝手が非常に良い。
焼きあごから出汁を取る手順を紹介しておく。
1. 焼きあごの頭と内蔵は取らず2つか3つに折り、水を入れた鍋に半日浸します。
2. 黄金色のだしが出てきたら、鍋を中火にかけます。
3. 湯気が立ち上がるか沸騰する前に火を止め、そのまま5分程度置いて冷まします。
4. 焼きあごを鍋から取り出して完成です。
2の段階で、半日以上経過するとだしが取れるが、この時点で火にかけなくても、出汁として使うことができる。
焼きあごは長時間火にかけたり煮立たせてしまうと、臭みや苦味が出てしまう。煮干しや昆布とだしの取り方に違いがあるので、だしを取るときには沸騰させ過ぎないように注意していただきたい。
ここまでアゴ出汁について書いてきたのだが、ちょっと簡単お手軽出汁を紹介しさせていただく。
醤油粉末、塩もパックに含まれていて、煮だすだけで完璧にできあがるような簡単お手軽お出汁もある。焼きアゴ、かつお節、さば節、昆布、椎茸、いりこ、そして粉末醤油、塩、砂糖と調味され、パックごと入れて3~4分煮だすだけでできあがり。誰が作っても簡単美味しいお手軽パックだ。
現代のお忙しい主婦の方には強い味方になるだろう。これさえあれば汁もの、煮もの、炒め物まで簡単で美味しくできあがり!